feat. Wham!
そんなウィンク一つ、見つめられると
ドキッとしちゃうよ⁉︎
ステイシーに似てるなんて
(よく言われる)
いつもなら憤慨するところだけど
僕はこの、笑顔の素敵な義妹に
すっかり魅了されてしまったみたいだ。
ケイトは軽く頭を下げた。
「ブライトンの家には、ここの電話番号を留守録に入れておいたから、そのうちアシュリーから連絡がくると思うの。そんなわけで、ちょっとの間お世話になります」
そこへ電話の音が。
さっそくアシュリーって奴からか?
と受話器を取ると、ステイシーだった。
「ケイト着いたのね? じゃあ、そういう事だから、あと頼んだわよ。私はこのままパリに行くから、まだ帰れないから」
ハイハイ、と電話を切ろうとすると
「ちょっとジム! まさかとは思うけど、ケイトに手出すんじゃないわよ⁉︎ フレッドは信用できるけど、あんたは――」
〈プツ!〉
素早く電話を切ってやった。
失敬だな、僕は紳士だ!
「どうかしたの、ジム?」
洗い物をしてくれてるケイトが
こっちを覗き込む。
「なんでもないよ」
そう誤魔化して、続けた。
「ねえケイト、僕のことは〝ジェム〟って呼んで?」
彼女は笑顔で頷いた。
〜♫ 出かける前に起こしてよ 僕をヨーヨーみたいに、ぶら下げたままにしないで 出かける前に起こしてよ 君が最高にハイな時を見逃したくないんだ ♫〜
なんか遠くから、ご機嫌な
『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』
の可愛い歌声が聴こえてきた。
……あれ?
だんだん近付いて来てる⁉︎
「グッモーニング! 早く起きてジェム、朝食が冷めちゃうぞー」
ケイトの声に、飛び起きた!
「うそだろ、まだ8時じゃん⁉︎」
ベッドの上で、ぼーっとしている
僕の部屋に、ケイトが入って来た。
彼女の足元にはティックルが
まとわりついてて
もう彼女に慣れたみたいだ。
「ほら、早く着替えて? 今日もとっても良い天気♩ 貴重な夏の晴れ間を満喫しないなんて、もったいない!」
カーテンが勢いよく開く。
ま、眩しい!
「お寝坊さん、もうとっくに8時過ぎてるわよ?」
クスクス笑う彼女の笑顔が
朝の光をまとい、眩しすぎて
よく見えない。
「おはよう――」
目を擦る僕の頬に向けて
ケイトが朝のキスをした。
ふわっと何だか甘い香りがして
また夢見心地になるよ……
「さーて、フレッドの方も起こしに行きますか!」
「待って!」
瞬時に目が覚め
慌てて彼女の腕を掴む。
「フレッドは、まだ寝かせてあげて? あいつ疲れてるからさ」
彼は昨日、女の子達の度重なる誘いを
完全に断ることができたと、
「女の子って、なんであんなに話が通じないんだろう」
そうグッタリして
夜も遅くに帰ってきたんだ。
邦題でも楽しさ伝わる『ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ』、ジョージ名義の『ケアレス・ウィスパー』(1984)、CMでも流れた『フリーダム』(1985)、そして『ラスト・クリスマス』(1984) はクリスマスの超定番ソングに!