1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスを含むバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場!

No.2-012 Mixd Feelings

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「これが怒らずにいられるか⁉︎ しょっちゅう人の家に上がり込んで、邪魔ばかりしやがって! いい加減にしろクソ野郎!」

「凄い、スラング完璧! Aをあげるよ」
僕は〈ピュー♩〉っと口笛を鳴らした。

そんな余裕ある僕の態度に
ヤスは益々イラつき出した。

フレッドは、ヤスの迫力に
すっかりビビッてしまっている。
そろそろタイムアウトかな。

「じゃあ帰るよ。明日はバイト休みだから、また来るよ」

ヤスは落ち着きを取り戻し
黙って机に戻った。

「……そんな寂しい顔すんなって、明日も楽しみに待っててね? 昔みたいに」

僕がヤスの頭に軽く触れると
彼は思い切り、その手を振り払った。

「二度と来んな!」

「怒った時のヤスって、昔とちっとも変わんないのな? 可愛いい――」

「ジェム!」

ヤスは机をバシッと叩くと
椅子から勢いよく立ち上がり、
僕は慌ててドアを開けた。
これ以上、虐めるのは可哀想かな。

「分かった分かった、出て行くよ」

そして、ドアを閉めながら
ヤスに笑顔を向けた。

「6年振りに〝ジェム〟って呼んでくれて、嬉しいよ」

 


帰り道(といっても、直ぐ隣だけど)
僕は得意気だった。

「今日一日で、すっごい進歩したと思わない?」

フレッドも大きく頷いた。

「うん、驚いちゃったよ。ヤスって『ミスターロボット』かと思ってたのに」

 

 〜♫ドモアリガト ミスターロボット ヒミツヲシリタイ♫〜

[Styx『Mr. Roboto』Released:11 February 1983]

 

――って⁉︎
僕は思わず吹き出した。

始めから読む(No.2-001)

 

 スティクスはUKではなくシカゴ出身のバンドだけど、日本人としてこの曲を入れずにはいられない!(笑)
 外国人が歌う日本語は当時インパクト大で、子供心にふざけた印象を持ってしまったけど、アルバム全体が物語仕立てになっていて、この曲だけを切り取ってしまうのは、彼等にとって不本意だったかと。
 こんな風に昔のアルバムは、まるで一冊の本のようにコンセプト仕立てになってるのが多く、一曲を単品買いする今の時代には新鮮かも? そもそもシングルを集めた日本のアルバムと、アルバムからシングルカットした洋盤では、根本が違いましたね (^^ゞ