1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.6-003 Blue Dreaming

pick out: The Dream Academy

なんて羨ましい奴なんだ!
まあ、当の本人は迷惑気味で
足取りも重く、出かけて行ったけどね。

昨日はバイトの遅番だった僕は
もう昼近くなんだけど
起き抜けの目を擦りながら
コーヒーを淹れにキッチンへ。
すると、またチャイムの音。

モニターに映るのは、女の子一人。
さっきの子達の仲間だなと
エントランスに出て対応した。

「フレッドだよね? さっき女の子達と出かけて行ったよ。あっちの裏通りの方に向かったから、急げば追い付くかも」

そう手を伸ばし案内すると
彼女は微笑んで、自ら手を差し出した。

「じゃあ、あなたがジェームスね? 初めまして、お兄さん」

思わず勢いで握手しちゃったけど
困惑する僕。

「えっと、何か間違ってない⁉︎ 僕には妹なんていないもの」

「あら、だってここギルバート・スミス宅でしょ? 私、ギルと前妻との娘でケイトです。義理だけど、正真正銘あなたの妹!」

彼女がミスターの娘だなんて
にわかには信じられなかった。
だって、聞いていたイメージとは
全然違ったんだ!

 

取り敢えず、リビングに通し
慌ててお茶の用意をしようとすると
彼女がキッチンを覗いてきて

「私がやってもいい? それと、お腹は空いてない? もし良ければ、ランチを作らせて欲しいんだけど……実は私、お腹ペコペコなの」

持っていたスーパーの袋を軽く上げ
気さくな笑顔を見せた。

彼女の好意に甘えることにし
一通りキッチンの説明を済ませると
テキパキ料理を始めた。

女の子がキッチンに居るだけで
随分と家の中の感じが変わるんだな。
慣れない雰囲気に照れを感じ、
それを誤魔化すように話しかけた。

「えっとケイト? 家出……してるって聞いてたけど――?」

「家出⁉︎ ギルがそう言ったの? やだ、ちゃんと仕事持って自立してるのに。今は彼と2人でブライトンに住んでるの。そんなに遠くないでしょ? 海が見えて、良い所よ」

確かに僕は、ミスターが
「男と出て行った不良娘」と
憤慨しているのを知っていた。

でも実際は、こんな風に
明るく健康的で
とても魅力的な義妹だったんだ。

「じゃあミスターに会いに来たんだね? でも彼、当分帰ってこないんじゃないかな……ニューヨーク勤務だって言ってたから」

「本当に何も知らないんだ? じゃあ、初めから説明するね。でもその前にコレ作っちゃうから、ちょっと待ってて」

始めから読む(No.6-001)

 

 ジェムがケイトのことを、不良娘と思っていた様子はコチラ(No.3-010)。実は爽やか女子だった義妹、ケイトのルックスにはモデルがいます。ドリーム・アカデミーの紅一点、ケイト・セント・ジョンさん。アー写を一目見てズキュン♡ 次回No.6-003で、ケイトに再現してもらいます ٩(。˃ ᵕ ˂ )و♪
 ドリーム・アカデミーはニック、ギルバート、ケイトの3人組。ロックが主流のなかストリングスをフィーチャーしたサウンドで『ザ・ラブ・パレード』(1985)『ライフ・イン・ア・ノーザン・タウン』(1985) をヒットさせました。その後ギルバートが脱退。男女2人組になるという、あるあるパターンw
Music Video
Dream Academy - Life In A Northern Town
 

 

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