1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.5-012 Don't Be Scared

「急に連絡よこしてスタジオ貸せって、お陰で予約してたバンドに『機械の調子が悪い』とか何とか誤魔化して、キャンセルさせる羽目になったんだぞ⁉︎」

「サンキュー、ライリー! 分かってんじゃん」

「このクソガキが! 変わらず元気そうじゃねぇか」

スタジオ・オーナーのライリーと
マークが、お互い叩き合いながら
抱擁を交わしているのを
バイトを無断欠勤となってしまった
僕は、バツの悪い思いで眺めていた。

するとライリーが

「おめーはよく、警官ボビーの言いなりにならなかったな? 思いのほか気骨があるじゃねーか! 見直しだぞ、頑張ったな」

そう笑いながら大きな手で
僕の頭を揺らした。

恥ずかしさと嬉しさで
目頭が熱くなり俯いていると
マークもガシッと肩を掴んで
揺らしてきた。痛いよ!

そこへ学校に行っていたフレッドが
僕の分のギターも抱えて到着すると、
「マーク!」って勢いよく
彼に飛び付いたんだ。


ちょっ、何それ⁉︎


兄ちゃん、軽く嫉妬なんだけど⁉︎
シャバに出て来たばかりの兄ちゃんが
ここにいるんだけど! って
拗ねる僕を他所に、2人は
チャールズがプロデュースした
音源を聴いたり
アルバムに入れる予定の曲や
新曲のアイディアを語り出した。

あんなに嬉しそうな弟を見たら
何も言えないな。

僕もトニィと音を鳴らしたり
ヴォイストレーニングをしていると

「悪い、遅くなった」

制服姿のヤスも登場。
着替えもせず、息せき切って
急いで来たんだね。

「ようヤス! なんかデカくなってねーか?」
マークが驚きながら
ヤスの頭をグイッと撫でる。

「多分、去年より3インチぐらい伸びてる」

そう言われると確かに。
日頃、見慣れているせいか
気付かなかった。

「ちょっとヤス! 日本人って小さいんでしょ? 僕より大きくならないでよね⁉︎」

「フレッド、身長で適わなくなったら、筋肉で勝負すりゃいいさ」

そう笑って、ご自慢のタトゥーに
力こぶを作るマーク。
今更だけど
なんでアメコミ・ヒーロー?

「なんでって、最高にクールじゃんか!」

マークとトニィは
〝何言ってんだ?〟って感じで
呆れて僕を見る。

やっぱり、ビッグ・カントリーに
徒労を組まれちゃ適わない!

始めから読む(No.5-001)

 

 アメリカ人のトニィは「コップ」、イギリス人のライリーは「ボビー」と呼ぶ警察官。ライリーも若い頃、色々お世話になったみたいw 彼はジェムをお坊ちゃんと見てたしジェムの方もNo.3-015 のようだったので、これを切っ掛けに打ち解けたかと。その様子は10章で。
 そして、久々に登場のマークは変わらずお調子者ですが、そんな彼もロンドンに戻って来たら壁にぶち当たります。その様子は9章で(ΦωΦ)フフ