1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスを含むバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場!

No.2-007 Mixd Feelings

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フレッドが淹れた
グリーンティーを味わうユミコの姿は
以前はもっと、ハツラツとした
印象だったけど
今はどこか寂しげだ。

仕事がオフだったステイシーと一緒に
僕等はユミコの話を聞いた。

それでヤスが
すっかり冷めた少年になった理由が
分かったんだ。

 

「2年前、主人は仕事で某国へ行ったんです。ええ、紛争の取材で……亡くなったんです、主人は――」

ユミコの声が、わずかに震えた。

僕等は口々にお悔やみを述べた後
僕はつい、言ってしまった。

「だからヤスは、あんなイケスカな……んっ!」
フレッドに小突かれ、口を改めた。

「――ヤスはおじさんの死が、凄くショックだったんですね?」

「本当に、昨日はごめんなさいね……ただ、あの子のあの態度には、別の要因もあると思うんです」
ユミコは語り始めた。

◇ ◇ ◇

あの子は……主人も私も
ずっと仕事をしていて
しかも一人っ子だったせいか
もともと大人しく、手も掛からず
引っ込み思案でした。

今思うと、友達らしい友達は
ジェム君ぐらいだったわ。

日本に戻ると、早く日本に馴染めるように
公立の小学校に通わせたんですけど
言葉の壁もあり
なかなか難しいようでした。

見兼ねた私は
たまたま近くに住んでいた
イギリス人夫婦の経営する
英語塾に通わせて
ようやっと恭章に、笑顔が戻りました。

そんな中、主人を亡くして……

 

あれは主人のお葬式の時でした。

式が終わり、私は関係者の方々に
挨拶をしていました。

そこに、主人の長年の親友で同僚の
K氏がいらしたんです。

始めから読む(No.2-001)

 

 当時想定していた紛争は某アラブ国ですが、同時期に他に何があるか調べてみると、中東、アフガン、中央アメリカと絶え間なく――そして、もう21世紀になったというのに変わらない世界は、痛ましい限り……