1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスもメンバーのバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場します。時々イメージ・イラストも掲載!

No.2-011 Mixd Feelings

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その日も

「もう、いい加減にしようよ……」

と言うフレッドを、無理矢理引っ張り
ヤスの家に向かった。

ヤスは相変わらず、自室で勉強している。
最近は僕等が来ると
わざと勉強し出すんだ。

そうなると多少、気が退けるんだけど
ここで負けてはいられない!
僕はニコニコと話しかけた。

「また勉強? ホンと頑張るね」

ヤスは見向きもしない。

「勉強もいいけど、せっかくの夏休みなんだからさ、息抜きくらいしない?」

ヤスは黙々と
ペンを走らせる。

「返事くらい、してくれたっていいんじゃない?」

僕も段々、顔が引きつってくる。
フレッドは諦めムードだ。

まったくヤスの奴
表情一つ、変えないんだから!
毎回こんな調子だと
さすがに嫌になってくるよ……

僕は溜め息混じりに視線を外すと
何かがキラリと光るのに気付いた。

「あっ、サックスだ! もしかして、おじさんの? 懐かしいなぁ――」

奥のチェストの上に置いてあった
サックスに近付こうとしたら

「触るなっ!」

ヤスが怒鳴ったんだ。
僕は思わずニヤッとした。

「やっと喋ってくれたね」

その時の、あいつの顔!
でも、また直ぐ無表情になって
黙ってサックスを片付けてしまった。

僕は試しに
「こっちのケースも一回り小さいけど、サックスだよね⁉︎ これは、もしかして君の?」
と手を伸ばしてみたら

「触るなって言ってんだろ!」

ヤスはやっぱり
感情をあらわにしたんだ。
僕は肩を竦めて
ヤスの表情を伺った。

「別にいいじゃないか、ちょっとくらい見せてくれたって。そんなに怒るなよ⁉︎」

「あ、あの……」
フレッドはオロオロしている。

振り向いたヤスが、キッと睨んだ。

「――怒るなだと!?」

始めから読む(No.2-001)

 

 こらこら、人の物を勝手に触っちゃいかんよ? ジェムってば、好きな子の関心を引きたくて意地悪する典型か⁉︎ そんなんじゃ女の子にモテないよ〜


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