1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.6-022 Blue Dreaming

feat.OMD

せっかく恋人同士なんだから
ラブラブなドライブ・デートを
したかったのに、
ケイトはどこか上の空だ。

アシュリーに電話したけれど
留守電にもならなかったのが
気になってるみたいで
車内の空気も、なんだか重い。

「ケイト、疲れてる? 寝てていいよ。着いたら起こすから」

彼女は申し訳なさそうにしたものの、
ほどなく静かな寝息を立てた。

不安な気持ちに駆られてしまうと
ラジオから流れる曲にさえ
つい、過剰反応してしまう。

 

 〜もし君が離れていくとしても、今はいかないで お願いだから僕の心を奪わないで もう一晩いると約束して そして僕達は別々の道を歩むのだから

[OMD『If You Leave』Released:21 April 1986]

 

 

僕はそっとラジオを消して、
信号が青になるまで
彼女の寝顔を見ていた。

◇ ◇ ◇

ブライトンに着くと
海に近いパーキングに車を止めて、
町中へ向かった。

「ここの上の事務所なの。そんなに時間はかからないと思うけど、あそこのカフェで待っててくれる?」

了解って、キスしようとしたら
下の書店から出てきた人と
軽くぶつかってしまった。

「レイチェル?」

ケイトの声に振り向いたレイチェルは
一瞬の沈黙の後、口を開いた。

「ケイト、これから打ち合わせ? 私は今から、そこのカフェでランチなんだけど、彼とご一緒してもいいかしら?」

2人の間に流れる空気に
たじろいでいると、
ケイトはにっこり微笑んだ。

「私が決めることじゃないから、どうぞご自由に。じゃあジェム、また後でね!」

ケイトは面白くない気分のときほど
笑顔をつくるみたいだ。
でも、色々と気がかりなこともあって
レイチェルとカフェに入った。

 

彼女はオーダーを済ませると
ふんわり整えられたブルネットの髪を
指で耳にかけながら、
恥ずかしそうに話し出した。

「この前は私、みっともないところをお見せしちゃって……」

こうして上品にサンドイッチを
ついばむ姿を見ていると、
落ち着いた大人の女性という印象だ。
アシュリーと同じか、多分少し年上。

「付き合わせちゃって、ごめんなさい。ええっと、スミスさん? 失礼ですが、あなたはケイトの……?」

僕は迷いもなく、キッパリと告げた。

「恋人です!」

すると彼女の声が、わずかに震えた。

「じゃあケイトは、もう本当にアシュリーのことは……」

「いや、彼女はまだ彼を思ってる。そう簡単には忘れられないだろう」

僕は軽く溜め息を吐き、話を続けた。

始めから読む(No.6-001)

 

 OMDことオーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク (長いw) の登場\(^o^)/『エノラ・ゲイの悲劇 』(1980) でシンセ・ポップの先駆者となった、アンディとポールの2人組。

 映画『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(1986) の挿入歌『イフ・ユー・リーブ』では、よりポップな音とアンディの切ない歌声で青春映画を盛り上げました(表題曲の方はNo.4-014でご紹介!)あと自分はポールが歌う『(Forever) Live and Die』(1986) が、お気に入り♩

Music Video
OMD - If You Leave

 ケイトは仕事を始めて日常に戻ったら、トーンダウンしてきたみたい? 女性は現実的だから( ̄▽ ̄)

 

 

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