feat. David Bowie
まず最初は、派手で有名な
ロイヤル・パビリオン。
外観はインド風なのに中身は
シノワズリー[中国趣味]一色。
それから、ザ・レーンズ。
アンティーク・ショップや
古着屋が連なる
ショッピング・ストリートだ。
「わあ、ステキ!」
アクセサリー・ショップに
目を輝かせるケイト。
「見て行く?」僕が尋ねると
「ん……ジェムは、あっちで待ってて?」
と、彼女はセカンド・ハンズ[中古]
レコードショップを指差した。
さすが、分かってる!
夢中でレコードを物色していると、
ほどなくしてケイトが手を振り
戻ってきた。
ランチは、ケイトお勧めのレストランへ。
オーダーを済ませると
僕は袋から〝デヴィッド・ボウイ〟の
レコードを取り出して、
テーブルに広げて見せた。
「見てケイト! 掘り出し物なんだ。フレッドへのお土産ができた」
「私もね、買っちゃったんだ。ほら!」
ケイトが髪をかき上げた右耳には、
空のように青くきらめく
ピアスが光っていた。
だけど左耳には、見当たらない。
「あれ、もう片方は?」
僕の問いに、
彼女は小さな箱を差し出した。
開けるてみると、そこには
もう片方のピアスが入っていた。
驚く僕に、ケイトは
恥ずかしそうに答えた。
「女性は右耳に、男性は左耳に付けるんでしょう? 離ればなれにならないよう、お互いを見つめ合っているように――」
まさか、彼女がこんな風に
僕を受け入れてくれるなんて!
「ジェムの瞳と同じ色のピアスよ、付けてみて?」
僕は少し震える手で
左耳のゴールドのピアスを外し、
この青いピアスを填めた。
ケイトが手鏡を手に歓喜する。
「やっぱり、凄く似合ってる!」
「ありがとう……嬉しいよ」
テーブル越しに
ぎこちなくキスを交わすと、
恋は初めてじゃないはずなのに
まるで『ずぶの素人』のように
全身が熱くなるのを感じた。
それから、2人は桟橋の遊園地
パレスピアで、思い切り遊んだ。
カルーセル[メリーゴーラウンド]に
乗って子供のようにはしゃぐ
ケイトに向かって、
僕は大声で叫びたい気持ちで
一杯になった。
――もう僕は〝完全に君を愛してる〟アシュリーだろうが誰だろうが、絶対に君を渡さない!