1980s 洋楽★創作物語

舞台は1980年代。ロンドンから来日した、新人バンドのVo. ジェムの目線で描く、日本人少年ヤスを含むバンド仲間や家族との成長物語。UKバンドを中心とした、あの頃のあの曲が登場!

No.1-021 Mollycoddle

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どうしようもない感情だけが
一気に込み上げてきた。

フレッドはピックを弦に挟むと
もの凄く悲しそうに、僕を見つめた。

「うるせーゾお前ら、出てけ!」

エースに怒鳴られ、僕等は外に出ると
フレッドが泣き出しそうな声で話し出した。

「ダッドはギターを弾くと、いつもジェムの話をしてた。マムの所に残してきたことも、気にかけてたよ」

「嘘だね! だったら何でダッドは、お前だけ連れてったんだよ⁉︎

それは僕の心の中に
ずっと燻っていた蟠り。

憤る僕を見たフレッドは
小さく溜め息を吐いて、口を開いた。

「マムもダッドもまだ若くて、僕達一緒には育てられなかったって。まだ幼い僕より年上の方が育てやすいって、マムがジェムを選んだんだ。本当はダッド、僕よりジェムを連れて行きたかったと思うよ……」

力無い笑顔を向けるフレッドに
僕は肩を竦めて見せた。

「はっ⁉︎ 本当に気にかけてたら『元気か?』って連絡の一つも、寄越すもんだろ? なのにダッドは病気になっても、連絡くれなかったじゃないか!」

するとフレッドは、僕を睨み
語気を強めた。

「だってジェムは、ずっと家に居なかったんでしょ⁉︎ マムはちゃんと、お見舞いに来てくれたよ? お葬式だって、マムとギルは出てくれたのにジェムは――」

「ステイシーが⁉︎」

「そうだよ。キャサリンが連絡したら、直ぐに来てくれたよ?」

僕は耳を疑った。

始めから読む(No.1-001)

 

 息子は義父に懐かず実父が大好きだと知っていて、家出しても時たま帰って来ることも分かっていたのに、何も知らせなかったマム。その理由は最後の最後、10章で明かされます!
 ……なんてホントは、書き始めのこの段階では特に考えてなかったのに、最後に上手い事まとまったというw