1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.3-017 Believe In

feat. Pet Shop Boys 「よーし、気合い入れてこうぜ! Club1000 で成功すれば、レコード会社の目に止まる、千載一遇のチャンスだ!」 マークの掛け声で皆んな張り切って準備を進めた。 そして熟考を重ねたセットリストに合わせ一通り演奏し終わると 「そろそ…

新しい年へ、セイル・アウェイ!

物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第5弾〕 明けましておめでとうございます 去年の今頃は物語を完成させて ブログにしてみようと 試行錯誤していたかと思うと ほんと一年なんて、アッという間です! すっかりブログにも慣れたところで …

No.3-016 Believe In

するとライリーから「空いている時間なら構わねーぞ」とスタジオ使用の了承を得たんだ。 マークの社交性の高さには、脱帽だよ! さっそく、僕とマークとトニィでデモテープ作りに取りかかり休日にはフレッドとヤスを呼んで完成を目指した。 デモテープが完成…

No.3-015 Believe In

ちょっとしたフレーズや小曲なら僕も今までいくつか作ってきたけどちゃんとした作曲となると経験があるのは、マークだけだった。 なので、開店前のセント・ブライアンズに集まりマークに色々教わりながら何とか形にしていった。 問題は〝詩〟 ここで、またも…

No.3-014 Believe In

feat. Echo & The Bunnymen 少なくとも、昨日マークに追い立てられなければ鍵を閉め忘れることもなく今ここで、トニィに会うことは無かっただろう。 「じゃあバンド名は、スターライト・ルームにする?」と僕。 しかし、ヤスが少し考えてから口を開いた。 「…

No.3-013 Believe In

「君達、ドラマーいらないか? 昨日ずっと見てたんだけど、途中でベースの奴が入ってきただろ? オレだってドラムがあったら、飛び入り参加したのに!」 彼は悔しそうに拳を振って話を続けた。 「君達が此処から出て来たときに声を掛けようとしたんだけど、…

No.3-012 Believe In

そういえば、昨日慌ててマークに付いて行ったから門の鍵を閉め忘れていたこと、今頃になって気が付いた。 僕等が端の方から恐る恐る様子をうかがってみると男は荷物をほどき何かを組み立て始めた。 あれは……練習用のドラムパッド⁉︎ 空が橙色に染まる静寂の中…

No.3-011 Believe In

feat. The Smiths 「ジェム、落ち着きなよ⁉︎ 物に当たるのは良くない!」慌てるフレッド。ヤスも呆れている。 「僕は落ち着いてるよ⁉︎ 君らに八つ当たらないだけ、十分落ち着いてるっ!」 するとフレッドは大きく溜め息を吐いた。 「ねえジェム、いい加減あ…

No.3-010 Believe In

「駄目だと言っても、君達はやるだろう? ただ、まだ未成年なんだから、勉強に差し支えない程度にしておきなさい」 「僕は成人[18歳]している」 と言おうとしたらフレッドが制して笑顔で応えた。 「ありがとうございます!」 仕方なく僕も小声で「どうも」…

No.3-009 Believe In

僕等は昨夜のステージの余韻が残るままバンド名やステージ映えする曲のアイディアを出し合っていたんだ。(至って健全でしょ?) 気付けば時計の針はもうすぐ20時になろうとしていた。 「お腹空いちゃったね? 何か作るよ」 フレッドが立ち上がり、僕とヤス…

No.3-008 Believe In

「僕、キーボードなら、少しできるけど?」 フレッドが手を挙げた。えっ⁉︎ 「ダッドと住んでた頃に演ってたバンドの、キーボードだった友達に教わって……あんまり上手くないけどね」 照れ臭そうに答えるフレッド。キーボード? バンド?そんなこと、初耳だよ…

No.3-007 Believe In

「あのガーデンで演ってたのと、同じでいいんだ。大丈夫、初めは誰だって初心者だ!」 ウォルターがドラムのスティックでカウントを取るとマークのベースがルートを刻みフレッドのギターとヤスのサックスで、イントロが始まる。 そして、わずかに震えた僕の…

No.3-006 Believe In

feat. Kate Bush 僕等はマークに引っ張られステージの正面を陣取った。 先ず、パンクっぽいバンドの演奏からスタート。シンプルながらも激しいビートで掴みはOKだ。 次は女性ヴォーカル。幼げなルックスの割に独自の世界観で歌い上げる様は〝ケイト・ブッシ…

No.3-005 Believe In

マークに付いて行った僕等は気付けばシティを越えてイースト・エンド地区に入っていた。 この辺はロンドンでも1、2位の危険地域なんだ。 不安げな僕等をマークは気にもせず先日行われた〝ライブ・エイド〟について熱く語ってる間に着いた所はセント・ブライ…

No.3-004 Believe In

「お前ら最高じゃん!」マークも僕等に、拍手を向けた。 僕もフレッドもヤスもこんなノリのある興奮は初めてだった。(やっぱり、生のベース音は最高!) 「勝手に参加して悪かったな。でも久し振りだ、こんな明るいプレイができたのは」 彼はサングラスを外…

No.3-003 Believe In

feat. Haircut 100 フレッドとヤスが、プログラミングに夢中でディスカッションしてる間に僕は中古自動車のカタログと睨めっこ。 去年免許を取得※してたまに、ミスターの車を借りるんだけど高級車なんて気が引けるしオッサンぽいもんね?※イギリスの免許取得…

No.3-002 Believe In

「ライブってさ、何度演っても緊張する。ライブがある日は、ベースに触ってないと落ち着かないんだ。オレ、こう見えてナイーブだから」 ナイーブかどうかは兎も角案の定だ。 「おーい、マーク! 午後から取材があるって聞いてるだろー?」 客席側から大声を…

No.3-001 Believe In

来日中の僕等はコンサートだけじゃなく、精力的にプロモーション[宣伝活動]も行っていた。 多数のカメラのフラッシュを浴びてると僕等は何しに来たんだろうって辟易するけど、仕方ないよね。 The Starlight Night の音楽をたくさんの人々に知ってもらうた…

Do you Do you

物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第4弾〕 実家の物置は、80年代に集めていた 書籍や雑誌なんかの宝庫(笑) 何か資料になりそうなモノ あるかな〜? と物色していたら コピーした楽譜が 無造作に入った袋の中に ドーナツ盤が数枚 紛れ…

No.2-024 Mixd Feelings (章末)

「素直に『一口ください』って言いなよ?」 「一口くれー!」 テーブルを揺らすマークの前にラーメンを置くと彼の〝一口〟で一気に減ってしまい目が点になった。 「……美味しい?」 「Yum Yum !」 結局マークは、僕のラーメンを全部食べてしまったんだ。(既…

No.2-023 Mixd Feelings

周りを気にしなくなると皆んな彼を、遠巻きにするようになり一人でいても、なんてことはないと気付いたヤスは、ますます周囲に壁を築いていった。 そのことを、僕に指摘されるまで気にも留めなかったと言う。 フレッドが 「最初に挨拶したとき『邪魔、どいて…

No.2-022 Mixd Feelings

意を決したヤスは大きく深呼吸し僕等のギターにタイミングを合わせる。流れるサックスの音色。進めば進むほど奏でる音に、喜びがあふれ出す。 ひとしきり演奏が終わるとパラパラと拍手が聞こえてきた。 ガーデンの入り口から何人かのギャラリーが入って来て…

No.2-021 Mixd Feelings

「ジェム、連れてきたよー!」 10月のハーフターム[学期中の中休み]に入ると、僕等はスターライト・ルームに集まった。 サックスの入ったケースを抱えたフレッドの後ろに、ヤスがいる。 「おい、いい加減に返せよ⁉︎」ヤスは呆れ顔だ。 やっぱり、フレッドに…

No.2-020 Mixd Feelings

彼は一瞬、顔を引きつらせ思い切り吹き出したんだ。僕は途端に、恥ずかしくなった。 「――いらっしゃいませ、ヤスアキクン。何が可笑しい⁉︎」 「何ってなんだよ、その格好⁉︎」 ヤスは肩を震わせ笑ってるよ! 「何って、制服だけど!?」 「まさかジェムのバイト…

No.2-019 Mixd Feelings

feat. New Order 階段から降りてきた僕を見てユミコは小さな悲鳴をあげた。そして直ぐ、車で病院に連れて行ってくれた。 僕の額は、2針ほど縫うことになりユミコは僕とステイシーに謝り続けた。 ユミコの横で項垂れるヤスは僕を見ようとはしなかった。 きっ…

No.2-018 Mixd Feelings

彼は誰の助けも、必要としない。彼は他人に、何も望んでいない。彼は決して、間違ってはいない。 勉強もスポーツも完璧で口を挟む隙もないヤスに誰も何も言えないんだ。 でも、まだ13歳の少年が完璧でいること自体が問題なのをなぜ、ユミコや先生や僕等が心…

No.2-017 Mixd Feelings

「あのね⁉︎ 僕は、ただ音楽を演りたいんじゃない。ヤスとフレッドと一緒に演りたいんだ。君が必要なんだよ!」 「……もうサックスは辞めたんだ」僕の勢いに、後退るヤス。 「君がサックスを辞められるわけないよ。現に今だって――」 言いかけた言葉を遮るよう…

No.2-016 Mixd Feelings

ジャズ、ジャズ、ジャズ! ダッドからはクラシックギター教室ではポップス&ロックバンド時代はパンク、ニューウェーブと今まで、それなりに演ってきたけどジャズはまったくノーマークだった。 僕等兄弟は、お小遣いを叩いてリズムマシンとベースシンセを購…

No.2-015 Mixd Feelings

feat. John Coltrane それから暫くたった、あの日なぜかヤスは、妙にピリピリしていた。サックスの音色も硬い。 「何かあった?」 僕とフレッドが聞いてもムスッとしたままのヤス。これは……空気を変えねば! 「そうだ、たまには外で演奏しない? 天気も悪く…

No.2-014 Mixd Feelings

feat. The Beatles ヤスの部屋は、元おじさんの書斎で防音にしてあるそうだ。 彼は躊躇いながらもストラップを首に掛けた。ピカピカに磨かれたそのアルトサックスは埃を被ることなく扱われていた証明だ。 「さっきと同じ3曲メドレーで、最初は――」 「『抱き…