1980s 洋楽★創作物語

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s 楽曲 (YouTubeリスト参照) が登場! 20年振りに描くイラストも80年代風・・・( ˘ω˘ )

No.5-005 Don't Be Scared

feat. Depeche Mode

「実は色々あって、デビューが伸びちゃったんだ」

僕等は事の流れを説明した。

「そうだったのか……まあレーベル側の思惑はともかく、こっちとしては〝Depeche Mode〟じゃないが、掴めるものは掴んでおきたいね。何事にもタイミングというものはある」

「『全てのことに意味がある』 よね? きっと、もっと良いタイミングで、デビューできるはずよ」

Depeche Mode『Everything Counts』Released:11 July 1983]

 


励ましてくれる2人に感謝し、
トニィが本題を切り出した。

「ジョージ、去年会ったとき話してたよな? セント・ブライアンズの経営を巡って、オーナーとウォルターの間に確執があるとかなんとか……」

僕もジョージを促す。

「セント・ブライアンズに行かない方がいいってことと、関連あるんだよね?」

「うん……」

彼はアンと顔を見合わせると
躊躇いがちに、話し出した。

「そうはいってもオレも当事者じゃないし、詳細は分からない。あくまで、あそこの常連達との噂話で耳にしただけだから。で、先ずは何を知りたい?」

観念したようにソファにもたれる
ジョージの眼を捉え、答えた。

「僕等の知らないこと〝すべて〟さ」

◇ ◇ ◇

ジョージの話では、事の起こりは
セント・ブライアンズのオーナー、
ジェフ・ブライアンがギャンブルで
莫大な借金を作ったことから始まった。

ブライアンは祖父の代から続く
ダンスホールを、流行りの
ライブハウスに変えたものの
音楽には、まったく興味ないため
知人の紹介で知り合ったウォルターに
全てを任せ、豪遊する日々を
過ごしていた。

セント・ブライアンズは
ウォルターの人柄の良さもあり
常連達で、それなりの賑わいを
見せていたけど
経営に疎いウォルターは
(何せスタジオ経営に失敗している)
無名ミュージシャン達の
ステージ代を安く上げたりして
苦しい状態に陥っていった。

ブライアンは、それをカバーしようと
ギャンブルに手を出してしまったと
自分を正当化し
ウォルターは懐疑的となった。

こうしてブライアンと
ウォルターの対立は決定的となり
挙げ句の果て、ブライアンは
セント・ブライアンズを
借金のカタにして失踪。

しかしウォルターは頑として
立ち退きを拒否し、
営業を続けていたそうだ。

始めから読む(No.5-001)

 

 デペッシュ・モード『エブリシング・カウンツ』のMVは今回初めて観たんですけど、まだ皆んな大学生ぐらいの若さで、特に「この真ん中の赤毛の爽やかイケメンは誰!? こんな人いたっけ?」ってアランに釘付けにw だって自分が知った時期の彼らは――
 って、何かちょっと怖い感じ!? 改めて当時の画像を色々見てみると、いうほど黒尽くめでもないし、皆んな笑顔で写ってるし、アランの黒縁アイライン越しの整った顔立ちも健在で、よく見れば皆んなイケメンでは!? そういう事は、もっと早く教えて〜(2回目w)
Music Video
Depeche Mode - Everything Counts
 

 

その他のアーティストも登場!

No.5-004 Don't Be Scared

feat. Everything But the Girl

「どうぞ入って」

2人はドアを開け
僕等をフラットに招き入れると
ジョージは、うとうとしているベビーを
そっとバスケットに寝かせた。
トニィが中を覗き込む。

「可愛いね、男の子? 女の子?」

「男だよ、名前はエリック」

「ギターの神様と同じだね⁉︎ 将来はジョージパパを超える、名ギタリストになるかな?」

僕の台詞に、ジョージは軽く
微笑んだ。

「できればコイツには、真っ当な道を進んでもらいたいけど」

「あら、私達は真っ当じゃないって言うの?」

アンは呆れながら
ティーポットとカップのセットを
テーブルに置いた。

僕からすれば、2人は
Eurythmics〟や
Everything But the Girl〟に
引けを取らない、最高のデュオだ。
子育てが落ち着いたら
またステージに戻ってきて欲しいな。

するとベビーが、パパママ以外の
気配を察して不安になったのか
ぐずり出してしまい、
アンはベビーを抱き上げると
子守唄であやし始めた。

彼女の歌声は
トレイシー・ソーン〟のような
少し気怠く、低音の落ち着いた響で
ずっと聴いていたくなる
心地良さなんだ。

ジョージが慣れた手つきで
次々とカップにお茶を注ぎ
渡してくれた。

「息子が将来どんな道を選ぶかは分からないけど、オレはコイツのためならどんなサポートでもするつもりだ」

「じゃあ、しっかり稼いでもらわないとね!」

頼もしい夫の発言に
茶々を入れるアン。
ジョージは肩を竦めつつも
温かな目をベビーに向けた。

「オレはラッキーだったよ。この辺りのドックランズ[港湾施設]が次々と閉鎖され、失業者があふれた時期は最悪だったけど、今は大規模な再開発計画が進んでいる。どんどん高層ビルが建設され、お陰でオレが入社した会社も景気がいい」

治安の悪さで名を馳せた下町にも
高層ビルが建ち並ぶと
そこへシティから大企業が
集まってくるそうだ。

「だから息子が大きくなる頃には、この街は貧困から抜け出し、活気づいてるはずだ」

ジョージの目はベビーを通して
そう遠くない未来を見ているようだ。

そして、僕等の方に向き直ると
思い出したように続けた。

「そういえば、あのライキーで演ったんだって? デビューも決まったそうじゃないか。素晴らしいよ、おめでとう!」

僕とトニィは、ちょっと困ったように
顔を見合わせた。

始めから読む(No.5-001)

 

 エヴリシング・バット・ザ・ガール(EBTG) を初めて聴いた時、色っぽい声の男性ヴォーカルだなと惚れてしまいました! が、女性ですw
 彼らの初期で有名な曲は『カム・オン・ホーム』(1986)、『ドライビング』(1989) 辺り? 自分はデビュー時のネオ・アコースティック・サウンドが好きだったので『イーチ・アンド・エブリ・ワン』(1984) をご紹介♩
Music Video
Everything But The Girl - Each and Every One
 このEBTG、トレイシーが子育てに専念するため2000年に解散してたのですが、2023年4月にニュー・アルバムを発売。トレイシーが子育てを終えて帰ってきたんですね! 物語のアンも子育てを終えて歌い始めてるといいな〜 ベビーのエリックも30代半ばを過ぎて、IT業界でバリバリ働いているかも⁉︎ なんて、つい妄想しちゃいます (^^ゞ
 

 

その他のアーティストも登場!

No.5-003 Don't Be Scared

「誰かサポートに入ってもらうとか?」
トニィはそう言って
フレッドの顔色をうかがった。

曲はともかく、詩の大半を
書いているフレッドには
気を使ってしまうみたいだ。

「……僕達の曲を、メンバーじゃない人に弄られるのは嫌だよ。アイディアを盗まれたくないしね」

案の定、ムスッとするフレッド。
Aレベル[大学入学資格試験]が
近いせいか、イラついてるな。

僕は彼の肩を軽くさすって
ご機嫌を取った。

「オリジナル曲じゃなければ、サポートしてもらってもいいんじゃない? たまには息抜きも必要だよ」

しょんぼりとしていたトニィが
パッと顔を輝かせた。 

「だったら久々に、セント・ブライアンズで演らないか? ウォルターに頼んでさ。彼なら分かってくれてるから、きっと協力してくれるよ」

ウォルターがベースを
演奏してくれるなら
新曲を演ってもいいと
頷くフレッド。
彼もライブは演りたいみたいだ。

僕は揶揄い口調で、ヤスの反応を見る。

「ライキーでギグした身としては、セント・ブライアンズだと物足りない?」

「いや、寧ろリハビリ感覚でできるから、いいんじゃない?」
ヤスもちょっと嬉しそうだ。

「じゃあオレ、ウォルターに連絡してみるよ!」

僕等はトニィからの連絡を
待つこととなった。

◇ ◇ ◇

数日後、悲痛な声のトニィから
連絡が入った。

「何度電話しても、繋がらないんだ」

心配になった僕とトニィで
セント・ブライアンズに
足を運ぶことにした。

久々にイースト・エンドへ入り
地下鉄から地上に出た先で
懐かしい顔を発見!

「ジョージ⁉︎  去年レコード店で会って以来だな」

「おう、2人とも久し振り!」

そういえば以前、
トニィはジョージから
セント・ブライアンズの
よくない噂を聞いたんだっけ。

僕等が事情を説明すると
ジョージの顔が歪んだ。

「あの辺りには当分、行かない方がいい。もう営業も、してないと思う」

戸惑う僕等の後ろから
赤ん坊の泣き声が響いた。

「ジェム、トニィ⁉︎ 驚いた!」
ベビーを抱いたジョージの奥さん、
アンが店から出て来た。

この夫婦はセント・ブライアンズの
古参の出演メンバーなんだ。
ステージに不慣れな僕等を
色々サポートしてくれたっけ。

ジョージがベビーを抱き
彼女に何やら話をすると

「私達の家、この裏をちょっと行った所にあるの。寄って行かない? お茶にしましょう」

アンが笑顔を向けた。

始めから読む(No.5-001)

 

 ジョージとアンは、No.4-003で名前が出てきたデュオのご夫婦。男女で2人組だとカップルになる(後で別れてもw)印象が。ジョージは頼れる兄貴分で、若い頃はブイブイいわせていたけど(アンはヤキモキしたかも⁉︎)子供ができて保守的なパパになる典型かな( *´艸`)
 アンのイメージはユーリズミックスアニー・レノックスのような、マニッシュでカッコイイ女性。彼女の歌声をイメージしたアーティストを、次回ご紹介します〜

No.5-002 Don't Be Scared

pick out: G.I. Orange

そら面白い! って皆んなで一生懸命
木の箱を振っている姿が笑えるな。
外国人観光客が多い京都は
おみくじも、ちゃんと英語で
書いてあるんだ。

「見ろよこれ?『大吉』だってさ!」
マークは引いたおみくじを
得意気にヒラヒラさせる。

「僕は『中吉』、北の方角がラッキーだって」
フレッドも嬉しそうだ。

「私は『末吉』だ。これは、どのぐらい良い結果なんだい?」
とスティーブン。

「オレは『吉』だった。ジェムは?」

「トニィと同じ『吉』だよ。悔しいな『大吉』狙いだったのに」

そして皆んなの視線は
おみくじを紐に結ぼうとしている
ヤスに注がれた。

「あのさー、こんなのはお遊びなんだから――」

そう言うヤスを押しのけて
彼の引いたおみくじを覗き込む。

「うわーっ『凶』だって!」

「これはヤバイ」

「うるせー!」

ヤスの面白くなさそうな姿に
皆んな笑ってるよ。

 

 

★      ★      ★

 

 

イースター休暇に入り
僕等は久し振りに
ヤスの部屋で集まっていた。


『今週24位、先週29位から着実にランクアップ! いま注目のご機嫌なダンスナンバー、アンドアッシュでトレジャー!〜♫』


BBC ラジオ1から流れる
ディスク・ジョッキーの声に
全員、素早く反応する。

「ロバートは、アメリカで成功したみたいで良かったよ」

皮肉るフレッド。
プロデューサーだったロバートを
未だ根に持ってるみたいだ。

この曲が、ロバートのプロデュースか
どうかは分からないけど
奴のお得意のサウンドであることは
間違いないね。

「今はこういうビートが、トレンドだから」
ヤスも小馬鹿にしてるのは明らかだ。

僕も悔しさを隠せずにいた。

「彼等じゃなく、僕等が選ばれていたら今頃は……」

そう、アンドアッシュは
ノーマンレーベルが
僕等より先にデビューさせた
ボーイズ・グループだ。


あれから4ヶ月――


ティーブンは
たまに連絡をくれるけど
デビューのことに関してはダンマリで
僕等は不安と嫉妬で
フラストレーションを抱えていた。

「あ〜ライブ演りてぇなー」
トニィが大きく伸びをする。

皆んな静まり返る中
ラジオから流れるシンセサウンド
虚しさを覚えた。

「まあリズムセクションとしては、ベースのいないライブなんて……な、ジェム?」
取り繕うトニィ。

「僕的には、新曲を演ってみたい気持ちはあるけどね」

始めから読む(No.5-001)

 

 流行りだったユーロビートで有名なストック・エイトキン・ウォーターマン (SAW) チームが手がけたのは、ほぼソロ歌手だったんですね。じゃあ80sアイドルバンドって? と検索して出てきた懐い名前、G.I.オレンジ! ヒット曲の『サイキック・マジック』(1985) は当時もちろん知っていたけど他に気持ちが向いていたので、そこまで興味なくw
 改めてwiki見たら「日本で売れる、三兄弟、両親金持ち」だなんて、キャラのモデルか!? ってぐらい設定の被りに今更ながら親近感 (笑) 彼等に当時の話を聞けたら、参考になりそう(* ゚∀゚)o彡
Music Video
G.I. Orange - Psychic Magic
 

 

その他のアーティストも登場!

No.5-001 Don't Be Scared

清水寺金閣寺平安神宮 etc.――
一日中オフをもらった僕等は
待ちに待った二度目の京都見物に
テンションを上げていた。

前回プロモーションで来日した時は
番組収録を兼ねていたから
観光らしい観光はできなかったけど、
今日は自由に回れるってことで
皆んな凄く楽しみにしてたんだ!

東京のハイテクな街並みも面白いけど
やっぱり京都の、このエキゾチックな
雰囲気には魅了されてしまう……

 

僕は買ったばかりの日本製カメラで
フィルム代のことも忘れ
あちこちシャッターを切って回った。

好奇心一杯のマークが

「うぉー! すげぇエキサイティング! ヤス、あれは何だ!?」

と、そこら中を駆け回り
同行のカメラマンが困ってるよ。
マークのあれは、ワザとだな。

「京都のことなんて、東京出身の俺に聞かれても分かんない」

そう言いつつもヤスは
日本のスタッフや
ツアーマネージャーのケヴィンに
尋ねながら、通訳さんと一緒に
解説してくれている。

京都は初めてじゃない
マネージャーのスティーブンや
A&Rのヘンリーも
ヤスの説明には、興味津々だ。

細かいことに興味のないトニィは
和紙でできた可愛らしい小物を
物色している。
きっとルイスへのお土産だね。

フレッドは、こっちに近付こうとするも
修学旅行で来ている子供達に
「外人だーっ」って囲まれてしまい、
慣れない日本語に一生懸命
耳を傾けている。

 

そうして僕等の行く先々で
ファンの女の子達も
どんどん増えてきて、
狭い京都の通りを
スタッフ達に囲まれながら
仰々しく歩いていると
他にも観光客は一杯いるのに
申し訳ない気持ちになるよ……

日本での知名度を舐めていた僕は
前回プロモーションで
来日した時の感覚でいたから
ファンサービスするにも
戸惑ってしまう。
ちょっと手を振っただけで
「ギャーッ‼︎」って
女の子達の歓声が凄いんだ!

唖然とする僕を他所に
いつもと変わらず
マイペースなマークが
皆んなを呼び寄せる。

「おーい! これやってみようぜ!?」

マークが手にしているのは

「〝おみくじ〟っていうんだ。要するにフォーチュン・クッキー
とヤスが教えてくれた。

あらすじ & メンバー紹介

 

 主人公、ティーン時代ばかり描いていたら、大人 (21歳) バージョンが描けなくて四苦八苦・・・これもちょっと幼いかも!? ちなみに彼が手にしているカメラは自分が使っていたEOS650ですが、本人はNikon派な気がするw
 この京都行脚、某バンドの動画を参考にしたけど、こんなカオスな世界を舞台に創作しようだなんて無謀もいいとこ・・・アイドルって大変ですね〜 更にこの章はUKロックらしく、ちょっとアンダーグラウンドな世界を描きたかったけど、自分には難しすぎて短い章となってますw
 そんな緩い物語ですが、今年もよろしくお願いいたします(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)ペコリ

 

1章はコチラ

クリスマスは自宅で

物語に入れられなかった
アーティスト・楽曲シリーズ〔第7弾〕

 

クリスマスは当日より

イブの方がメインって印象なのは

1980年代後半のバブル時期、

恋人達が主役に躍り出てから……?

 

シャンパンで乾杯の豪華ディナー

夜景の美しいシティホテル

プレゼントはブランド品の数々――

 

そんなトレンディーな方々の様子を

TVや雑誌で垣間見つつ

クリスマスは本来、家族で過ごすもの

と鼻息荒くした英国かぶれの自分が

一番好きなクリスマス・ソングは

クリス・レア

『ドライビング・フォー・クリスマス』

 

一見、恋人達がイチャラブしながら

ゲレンデに向かう(←色々混ざったw)

ドライブ・ソング? と思ったけど

原題は『Driving Home for Christmas』

「クリスマスに車で家に帰る」って

めっちゃファミリークリスマス!

またクリスの低音で渋い歌声が

お父さん味があってイイんです♩

 

そんな、ほっこりした曲だから

一昔前(70年代)かと思ったけど

リリースは1986年、

ワム!の「ラスト・クリスマス」より

後だなんて、ちょっと意外!?

この曲は1978年にクリスが奥様の運転で自宅に戻る途中、雪で渋滞にハマるなか鼻歌を書き留めてできた歌詞だそうで、やはり70年代でした!(曲の方は数年後っぽいけど) 彼はギターを持ってるアー写が多いので代わりに車のキーを持たせてみたけど・・・毎度の如く微妙に似てない (爆)

 

しかもシングルのB面だったそうで
(知らんかった!)

当時はチャートに上がらず

ラジオ等でジワジワ浸透し、

1988年にシングル化

2002年に再録音

気付けば英国でプラチナディスクに!

長い年月をかけて人々に愛される

クリスマス・ソングとなりました

 

 

今日はクリスマス・イブ――

 

 

あの頃は

恋人がサンタクロースだった

トレンディーな方々も

今宵は孫子のサンタさんとして

過ごしているんでしょうね?

 

そして、明日のクリスマス本番は

自分も普通に仕事だし

やっぱりクリスマスは終了、

年越し準備をしなくっちゃ!

日本人だな〜(笑)

 

Music Video
Chris Rea - Driving Home for Christmas

その他のアーティストも登場!

No.4-029 Lost The Way (章末)

「そんな時間あんのか⁉︎ また強引にプロモ入るんじゃねーの?」

「縁起でもないこと言うなよ!」

〈バサッ!〉

マークを小突いたトニィの振動で
僕がシートに置いていた手紙の束が
落ちてしまった。
それをフレッドが拾いつつ

「またファンレター読んでんの? 車の中で、よく読めるね……僕は気持ち悪くなっちゃうよ」

と呆れながら手渡してくれた。
Thank you !

「だって全然、読む時間ないからさ?」

手紙の山を軽く叩くと
マークが覗き込んできた。

「これってファン・レターってより、ラブ・レターだよなぁ?」

「オレなんか凄いの貰ったよ!『トニィ、第二夫人でいいから結婚して♡』って、もうルイスのことバレてるんだ」

「その手紙、ルイスに見せてやれよ⁉︎」

「んな恐ろしいこと、できるかっ!」

また、ふざけだした2人に
笑顔を向けるフレッド。

「スティーブンがね、ボヤいてたよ?『君達に彼女がいないから、ファンレターが多すぎて困る』って。でも彼女がいたってトニィのファン・レターの数は、僕達とそう変わらないのにね⁉︎」

「でも一番多いのは、ヤスだな」
僕の一言に
皆んな笑い出す。

「ヤスのファンレターなんて、日本語のばっかじゃん!」
マークの台詞に
ヤスも大きく頷いた。

「まぁね。しかも『英語ができないので、あなたの大ファンですってジェムに伝えて』とか、そんなのばっか。どれが俺宛なんだか分かんないって感じ」

そうは言っても日本では
やっぱりヤスの人気が凄いんだ。

「そうだヤス、ルイスから伝言」

「えっ⁉︎」

トニィの言葉に
しかめっ面するヤス。

「『LAに着いたら、今度は私がヤスを精一杯おもてなしして差し上げるわ』だってさ!」

「……いや、勘弁してくれ」

ドン引くヤスに、皆んな笑ってる。
でも僕は気掛かりだったことを
思い出して、笑えずにいたんだ。

 

――ヤス、君は〝彼女〟のこと、吹っ切れているの?

 

……To be continued

始めから読む(No.4-001)

 

 4章終了\(^o^)/ ご愛読いただき誠にありがとうございました。遠距離に負けずに愛を育む、トニィとルイスを置いときますね(ラブラブなカップルって癒される♡)この2人はロンドンの曇天より、やっぱりカリフォルニアの青空が似合う♩
 一転して、5章のジェムには試練が――ちょっとハードボイルド⁉︎ マークもちょっとだけ出てきます! 年明けスタートですが、登場予定曲はYouTubeリストを更新済み。引き続き、よろしくお願いします(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾

No.4-028 Lost The Way

feat. The Cure

ゲートに向かって歩き出した2人に
フレッドは手を振りながら
ほっこりとして呟いた。

「なんだかルイス、綺麗になったみたい。穏やかで満たされてる感じ……? きっと好きな人と一緒にいるからだね」

「欲求不満、解消されただけだろ」

鼻で笑うヤスの前に
不意にルイスが踵を返して
舞い戻って来た。
ギクッとなる一同。

ルイスはヤスの正面で立ち止まると

「今度会う時までに、少しはレディへの接し方を学んでおきなさいね?」

そう言って、ヤスの頬に
キスしたんだ!

「それはあんたの方が、先ずレディにならないと――痛っ!」

ヤスの腕を軽く小突いて
ルイスはクスクス笑いながら
トニィの後ろに隠れた。

「どこがレディだよ」って
クールを装っていたヤスだけど
ちょっと伸びてきた黒髪から覗く
耳タブが赤くなっているのを
僕は見逃さないからね!?

そして、トニィとルイスは
仲良くロンドンを後にした――

 

 

「どうだった、ルイスと一緒に過ごしてみて? 彼女と少しは仲良くなれた⁉︎」

帰りの車の中で
バックミラーに映るヤスに、
ちょっと意地悪く訊いてみた。

「ほんっと恨むぞジェム! 母さんが、あんなに女の子好きだなんて知らなかった。すっかりルイス贔屓なんだ。あの女、俺と母さんの前じゃ180度、態度が違うんだ」

むくれているヤスに
僕とフレッドは大笑い。

「笑い事じゃないって! この間だって俺は、スヌーカーのダブルス選手権を楽しみにしてたのに、あいつがドラマ見るってテレビ独占しやがって、多数決だって言ってね! 俺の言うことなんか聞きやしない」

※Snooker:ビリヤードの一形態。イギリスでは人気が高く、テレビ中継も盛んに行われている。

 

そんなヤスにフレッドは

「でもね? トニィの話じゃ、あれでルイスはヤスのこと、けっこう気に入ったみたいだって。彼女は末っ子だから、弟分ができて楽しんでるみたいだって、トニィがヤキモチ焼いてたよ」

と揶揄い口調で応え、
僕もニヤッとして呟いた。

「2人とも案外、相性良いかもしれないな? 残念だなぁ、トニィの彼女じゃなかったらねぇ」

「ヤス、泣かないで? 君にもいつか、素敵な女性ひとが現れるよ」

「そうだよヤス、『男の子は泣かない』って〝ロバート・スミス〟も言ってるしね?」

The Cure『Boys Don't Cry』Released:15 June 1979]

 

「――お前ら、いい加減にしろ!!」

 

 

★      ★      ★

 

 

「日本公演の次は、いよいよ全米横断だ! ルイスもさ、全英No.1のお祝いしようって、言ってくれてるんだ」

移動のバスの中
トニィは終始ご機嫌だ。

始めから読む(No.4-001)

 

 キュアーというとロバスミ氏のキャラに目がいってしまい曲は詳しくないのですが、ロマンチックなギターのイントロ後に突然ショミショミショ〜ミ〜と気の抜ける歌声で始まる『Just Like Heaven』(1987) がお気に入りw でも内容的に『ボーイズ・ドント・クライ』の方を。子供ロバスミ、可愛い♩
Music Video
The Cure - Boys Don't Cry
 まぁヤスは泣くどころか安堵してるだろうけど、この2人の犬猿の仲は9章に続きます。ルイスが絡むとロクなことにならない、難儀なヤス・・・(ΦωΦ)フフフ
 

 

その他のアーティストも登場!